『脳科学者が教える 子どもの自己肯定感は3・7・10歳で決まる(脳科学者 西剛志)』を読んで子どもの自己肯定感を育てよう!
子育てをしている中で、最近よく「非認知能力」や「自己肯定感」というワードを耳にする方も多いのではないでしょうか。この本は、その「自己肯定感」を育てるために、乳児期、幼児期、児童期と3つの世代に分けて親が心掛けていくべきことを、実際の研究結果をもとに脳科学者である西剛志さんがまとめたものです。
この本は、科学的な根拠に沿ってどのように育児に応用すべきかまとめられているので、内容にとても納得感があるのに加え、育児をしていくことがとても楽しみになる本です。0歳~小学生くらいの子どもを持つ方は、ぜひ一度読んでみてください。
『脳科学者が教える 子どもの自己肯定感は3・7・10歳で決まる』の概要
この本の著者である西剛志さんは、大学で博士号を取得後特許庁を経て、2008年から企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立し、脳科学に基づいたコンサルタントとして教育分野も含め活躍されています。
この本は、幸福度や満足度の高い人生を送っていくための基本となる「自己肯定感」をどのように育てるべきかを中心に、子どもの脳の発達段階と照らし合わせながら紹介されています。章立てとしては以下の通りとなっています。
第1章:すべての能力は自己肯定感で決まる!
第2章:脳がわかると子育て力も上がる!
第3章:脳の成長に合わせた自己肯定感の育て方
第4章:お母さんの自己肯定感を高める方法
この中でも、特に私が印象に残った内容について、抜粋して紹介させていただきます。
参考になった点と学び
自己肯定感とは?なぜ自己肯定感が大事なのか?
まず自己肯定感とは何か?ということですが、本書では以下のように述べられています。
人によってさまざまな定義がありますが、簡単にいうと「ありのままの自分を好きと思う気持ち」です。これがあることで自分を信頼し、「自分ならできる、やれる、大丈夫」と思うことができるようになります。
また、子どもの自己肯定感を育むことがなぜ大事なのか?ということは以下の箇所がとても印象に残りました。
子どものときに自己肯定感が育まれる子育てを大事にしていくと、それをベースに子どもの可能性や能力がどんどん花開いていきます。いろいろなことにやる気をもって取り組んでいけるようになるので、学習能力の向上、運動能力の向上にもつながっていきますし、この先のAI時代を生き抜いていくために必要とされている創造力やコミュニケーション能力など「非認知能力」と呼ばれる能力も身についていきます。
私の子ども時代は、とにかく勉強をしていい大学に行くことが成功への近道、という考え方が強かったですが、これからの時代は「与えられた勉強」だけではなく、「自ら考え行動する力」がより重要になっていくと言われています。その上でこの「自己肯定感」は、子どもの成長の土台として欠かせない要素であると改めて実感しました。
自己肯定感を育む上で子どもを褒めるにあたり、「よいところは2割あればいい」と考えるという発想もとても参考になりました。
子どもの脳の育ち方や特性を理解しておこう
本書では、脳の成長過程は年齢によって変化していき、0歳からの脳の発達では主に生命維持に関わっている古い脳が発達し、4歳くらいから理性や知性などを司る新しい脳の発達に拍車がかかると説明されています。
また、子どもを褒めることが脳にいいということはよく言われていますが、同じ「褒める」でも以下のポイントを意識するとより効果があるそうです。
- 才能ではなく努力を褒める
- 条件付きで褒めるのはNG
- 生活習慣に関することはとことん褒める
- うまくいかなかったときは「惜しいね」でほめる
他にも、脳は常に新しいことを求めているので、同じように褒めていても年齢とともに効果は薄れていくし、成功体験ばかりではなく失敗を乗り越える体験もストレスに負けない脳と体を作るのに大切とのことです。
年齢に関係なく大事にしてあげたいこと
年齢に関係なく大事にしてあげたいこととして以下の2点が紹介されていて、個人的にかなり大切だと感じました。
運動は子どもの脳の力をより向上させる
脳の研究では、身体を動かして運動すればするほど、脳の神経細胞ネットワークが形成されやすくなることがわかっています。それだけでなく、運動によって脳の情報処理速度も上がっていくことがわかっているのです。
外でスポーツばかりやっていないで家で勉強しなさい!と言いたくもなりますが、身体を動かすこともとても重要とのことなので、運動も思いっきりやらせてあげたいと思いました。
自分で学ぶ機会をたくさん与える
自分で選んで決めた、自らの判断で選択したという感覚は、満足度や幸福感、そして最終的に責任感を育むことにもつながっていきます。
こちらもよく言われることですが、親は親の考えを伝えるにとどめ、選択するのは子どもの判断に委ねていきたいですね。
自己肯定感を高めるために各年代で大切にすべきこと
本書のメインの内容となりますが、各年代に応じた自己肯定感の高め方が、いくつかのQ&Aとともに紹介されています。それぞれのQ&Aもとても参考になりますので、ぜひ本書で読んで参考にしてみてください。
乳児期(0~3歳)
乳幼児期で特に大切なのは、親から大切にされ愛されている実感を持たせてあげることであり、イヤイヤ期でも深い愛情と忍耐で子どもと向き合うことが重要であるとのことです。
幼児期(4~7歳)
楽しい、おもしろい、うれしいと感じる機会や体験を増やしてあげることが重要で、そのためにいろいろな体験を一度はさせてみることがおすすめとのことです。また、この年代だからこそしっかり伝えてあげたい大切なこととして挙げられていた以下のことがとても印象に残り、私も心掛けていきたいと思いました。
「人の能力は生まれつき決まっていない」ということです。脳は使えば使うほど無限に伸びていきます。このことをわかっている子ほど学習能力も上がりやすいことが明らかになっています。
児童期(8~10歳)
好きなことを見つけ目標を持たせてあげることが重要で、そのためにも幅広い体験ができるようにしてあげることが大事とのことです。また、学校であった出来事を「今日はどんないいことがあった?」と尋ねて楽しく話ができるように工夫するなどして、子どもとしっかり会話をすることも必要とのことです。
子どもの自己肯定感を育てるには親自身も自分を好きになろう
親が自分のことを好きでなければ、子どもの自己肯定感も育ちにくくなってしまうので、まずは自分を少しでも好きになることが大切とのことです。本書では、成功日記をつけるなど親自身の自己肯定感を高める方法についても紹介されていました。
まとめ
上記の通り、子どもの自己肯定感を高める上でとても参考になる箇所も多いですが、結局のところこの本を読むと、子どもにこの先どんな楽しいことや新しいことがあるかワクワクして、こちらまで楽しみな気持ちになります。
もちろん、怒らなければいけない場面も多々あり現実に引き戻されることも多いですが、子どもと一緒に子育てを楽しんでいこうと、そう思わせてくれる本です。